自動車の免許を取ろうと教習所を探している方は教習所には指定自動車教習所と届出自動車教習所があることをご存知でしょうか?
中には教習所探しをしているときに「指定自動車教習所」とか「届出自動車教習所」というものがあることに気付く方もいらっしゃるかもしれません。
これから自動車教習所に通って運転免許を取得しようと考えている方は、最初に「教習所」というものについて知っておくことをオススメします。
なぜなら指定自動車教習所と届出自動車教習所には非常に大きな違いがあり、メリットやデメリットが全く違うためです。
それぞれの特徴を知ったうえで自分に合った教習所はどちらかを見極め、そのうえで教習所を選びましょう。
指定自動車教習所と届出自動車教習所について
まず、大前提として自分が通う事を検討している教習所が「指定自動車教習所」なのか「届出自動車教習所」なのかをしっかり把握しなくてはいけません。
なぜならこの二つは「教習所」という名称であるにも関わらず全くの別物だからです。(どちらが良い、悪いというものではありません)
もし教習所が近い場合は建物を見てみましょう。見るとわかる場合があるためです。
殆どの場合、建物や建物の入り口などに教習所名が記載されていますが、そこに「公認」「指定」という記載があればそれは「指定自動車教習所」と考えることができるからです。
しかし、指定自動車教習所であっても「公認」「指定」と記載していない場合もあります。
そのような場合はその教習所のホームページをしっかり確認しましょう。
「指定自動車教習所」のホームページをしっかり見れば恐らく「公認」「指定」という名称を確認できるとは思います。
それでも見つからない場合は…教習所に電話して確認しましょう。
何故そこまで確認することをおすすめしているかという理由については、それぞれの教習所の説明をお読みいただけばわかると思います。
それではそれぞれの教習所の違いについて確認していきましょう。
指定自動車教習所とは
都道府県の公安委員会から指定を受けた教習所(公認自動車教習所とも言います)で、国に定められた基準を満たしたうえで運営されている教習所(日本の教習所の多くは指定自動車教習所です)のことを言います。
言い換えれば指定自動車教習所であれば全国どこの教習所でも入学してから卒業するまでのカリキュラムは同一になります。
もちろん転校も可能で、指定自動車教習所から指定自動車教習所に転校するのであればカリキュラムを継続して進めることが可能ですので、教習をやり直す必要はありません。
ちなみに国の定める基準は以下のようになります。
①技能教習のコース(例えば教習コースの面積、道路の幅や直線の距離、カーブの設置や駐車の練習ができる場所の設置等)や学科教習を受ける教室や設備等を国の定める基準を満たした内容で設置されていること。
②指定自動車教習所で教習を行うに当たり必要とされる「指定自動車教習所指導員」、「指定自動車教習所検定員」という国家資格を持った教習指導員、技能検定員を配置していること。
③技能教習、学科教習等が国の定める基準を満たしている(例えば授業のコマ数(時限数)が決められており、技能教習では最低でも乗る必要があるコマ数が決められていて、さらに学科で受ける授業の内容等)こと。
つまり、指定自動車教習所とは運転免許を取得しようとする方に「国が定める基準」で自動車を運転するのに必要な技術と知識を確実に習得できるように授業が組まれているのが特徴ということができます。
指定自動車を卒業する時には「国の基準を満たした技能を有する」ことを証明するものとして卒業証明書が交付されます。
そして卒業証明書を持っていれば試験場での実地試験(技能試験)が免除されます。
届出自動車教習所について
都道府県の公安委員会に届出を出している教習所です。
指定自動車教習所と比較するとかなり少なく、以前は「非公認教習所」と言う場合もありました。
届出自動車教習所には「届出自動車教習所」と「特定届出自動車教習所」の2種類があります。
届出自動車教習所に通う場合、本免許技能試験に合格して運転免許の交付を受けるまでの間に指定自動車教習所において「取得時講習(自動車等の運転に関する講習及び応急救護処置に関する講習)」を受ける必要があります。(別途費用が掛かります)
しかし特定届出自動車教習所で授業を受けて「特定教習終了証明書」を交付されていればこの取得時講習が免除されるというメリットがあります。
届出自動車教習所に通う事を検討している方は、その教習所がどちらの届出自動車教習所なのかを確認することをオススメします。
さて、届出自動車教習所の特徴は「国の定める基準」が指定自動車教習所と違うので、教習の自由度が高くなる点が挙げられます。
例えば教習のコマ数などは決まっていないことから比較的短期間で免許の取得が可能となり、料金設定も安めであることがあります。
但し、一定の基準を満たした教習を行うことが前提となっていないので「卒業証明書」は発行されません。
つまり免許を取得するに当たり最後に受ける試験は実地試験(技能試験)及び学科試験の両方に合格する必要があります。
また、免許を取得する前段階で必要な仮免許の試験についても教習所では行わないので、受験する度に運転免許試験場に行って受験する必要があります。
ちなみに運転免許試験場は都道府県に対して数か所しかない為、地域によってはアクセスが大変になるので1回の試験で合格することが望ましいかもしれません。
指定自動車教習所と届出自動車教習所のメリット及びデメリットについて
さて、ここまでの説明を基にメリットとデメリットを表にしてみます。
どちらの教習所に行こうか迷っている方には参考になると思いますのでチェック表としてご確認ください。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
指定自動車教習所 | ・免許取得に必要な技術と知識を国の定めに従った教習で受けることができる。 ・仮免許学科試験を教習所で受けられる。 ・仮免技能試験を教習所で受けられる。 ・卒業証明書があれば運転免許試験場で技能試験を免除される。 ・試験場での試験に合格すれば免許の交付を待つだけ。(合格後の講習等は無し) |
・定められたカリキュラムをすべてクリアする必要があるので、どんなに運転が上手でも、どんなに法令知識があっても卒業するまでに一定の時間が掛かってしまう。 |
届出自動車教習所 | ・定められたカリキュラムが無いので運転がうまく、法令知識があれば短期間で免許を取得できる。 ・運転がうまく、法令知識があれば短期間で卒業できるため教習料金が比較的安く済む場合がある。 |
・仮免許学科試験を受けるために運転免許試験場に行く必要がある。 ・仮免許学科試験に受かった後に仮免許技能試験を運転免許試験場で受ける必要があり、仮免許学科試験と仮免許技能試験を同日に受験出来ない場合は2回試験場に行く必要がある。 ・指定自動車教習所の卒業検定にあたる技能試験を運転免許試験場で行う必要がある。(試験場へ行くのは順調でも2回目か3回目) ・運転免許試験場で試験に落ちてしまうとその都度料金がかかり、何度も試験場まで足を運ばなくてはいけない。 ・運転免許試験場は各都道府県に数か所程度しかないので、試験場が遠いとかなり大変。 ・最終的にすべての試験に合格した後で「取得時講習」を指定自動車教習所で受講する必要がある。(特定届出自動車教習所は除く) ・届出自動車教習所の絶対数が指定自動車教習所と比較すると少ないので、通いたくても地域によっては難しいことがある。 |
概ねメリットとデメリットと感じられることは羅列しましたが、人によって感じ方も違いますので一つの参考として見て頂ければと思います。
どっちがおすすめなのか?
免許を取得する人の状況によってどちらがオススメという事はないと思います。
例えば運転免許を持っていた方で法令知識も運転技術もしっかり持っているような方が、免許の更新を忘れて免許を失効し、免許を再取得するに当たっては届出自動車教習所の方が良いという事が出来るかもしれません。
それに対して初めて免許を取りたいという方や技術や知識に不安があるような方は指定自動車教習所の方が良いかもしれません。
ちなみに「新規に免許を取る人のうちの97%は指定自動車教習所を卒業」(出典:全日本指定自動車教習所協会連合会HPより)しているという事です。
どちらに通うにしても絶対的な料金は決して安くはないので慎重に検討して後悔のない教習所選びをすることをオススメします。